『コヴェナント/約束の救出』では数多くの銃や兵器が登場する。アフガニスタン紛争においては、アメリカから現地のアフガン治安部隊に供与された銃と兵器は、20年にわたる戦争を通して830億ドル超の費用となるほどに膨れ上がっていた。それだけの物量が投入された紛争であり、『コヴェナント/約束の救出』では戦闘車両から航空機に至るまでほぼ全てといってもいいほどに映像として登場する。主人公ジョン・キンリーの装備についても当時のアメリカ特殊部隊の装備が再現されている。
『コヴェナント/約束の救出』の戦闘描写では、リアルさにこだわった描写が随所に盛り込まれている。それこそ、マガジン装填や残弾数も気にしながら戦うような戦闘描写が最後まであるのだ。ミリヲタにとっては、リアルさを追求した戦闘描写は何回観ても飽きないものだろう。ガイ・リッチー監督が『コヴェナント/約束の救出』を撮影するにあたり、こだわったであろうポイントのひとつであることは間違いない。主人公ジョン・キンリーたちが身に着けている戦闘装備もそうだが登場する車輌やその車輌の使われ方についてもぜひ観て欲しいポイントだ。
『コヴェナント/約束の救出』では、アメリカが使用する近代的な装備だけでなく、当時の中東アフガニスタンで敵対民兵が多く使用していた装備も多数出てくる。代表的なアフガニスタンにおける敵対民兵が使用する装備といえば鉄と木でできた銃「AK」だ。「AK」はソビエト連邦軍が制式採用した自動小銃であり、ミハイル・カラシニコフが1949年に設計した歴史的にも有名な古くからの銃となる。「AK」は砂漠においても動作が安定し、メンテナンスも簡単なことから耐久性と信頼性において世界で最も多く運用された軍用銃で、近代的なアメリカ銃との比較がミリヲタにとってはたまらない見どころのひとつとなる。
『コヴェナント/約束の救出』の舞台は、中東アフガニスタンとなる。現地住民たちはサルワール・カミーズ(Shalwar kameez)という民族衣装を纏っている。インドなどの南アジアでは女性が着用するものだが、アフガニスタンやパキスタンの国々では男性も着用しており、チュニックという服の種類に分類される。映画の中では主に主人公ジョン・キンリーたち以外の現地住民や敵対する民兵たちが衣装として纏っており、アメリカ側の衣装・装備との違いを感じさせ、中東の民族衣装として強く印象付けている(アメリカのアフガニスタン撤退後の民兵たちの装備・衣装がどのように変わるのかを歴史的にも意識させようとしているのかもしれない)。
モエガミ:サバイバルゲームや玩具関連のイベントを主催、協力。専門メディア編集長、企業・広告代理店への商品企画アドバイス、Radio Personality、映画やドラマのガンアクションアドバイザーも務めている。